昨年の暮れタウンニュース「人物風土記」にも登場しましたから
ご存知の方も多いはず。
師岡町在住15年の社会人落語家の茶遊亭小天さんは
師岡町会館で行われる落語会に何度も登場して下さっている
看板落語家となっています。
4月26日保健推進委員主催の樽町ケアプラザ「花しょうぶ」
や6月15日(土)に師岡町会館で行われた
「夏越しの大笑」にも登場しました。
8月18日(土)熊野神社例大祭 奉納演芸で落語を納めます
茶遊亭小天さんにお話しを伺いました。
★社会人落語家になったきっかけは?
東日本大震災の時、みなとみらいで仕事をしていたのですがその時
「私死ぬかもしれないと思いました。人間いつどうなるか分からないんだ。
それならばこれからはやりたいことをやろう」と思いました。
★「やりたいこと」に落語を選んだ理由は?
もともと恥ずかしがり屋で本を読んだり文章を書いたりすることは好きでした。
人前で話すのは苦手だったけれど表現することは好きでした。
子供のころおばあちゃんが落語が好きでいつもテレビやラジオから落語が流れていて
一度だけいつものように流れていた落語に引き込まれたことが有りました。
19歳の時に大学の先輩に寄席に連れて行ってもらってすごい!と思ったけれどそれ以降
長い間寄席に足を運ぶことなく、二度目に落語を生で聴いたのは2012年。
そこから定期的に聴くようになりました。
子供のころおばあちゃんがいつも聴いていて自分にとってBGMのようなものだった落語が
魅力的なものになっていました。
そもそも落語は口伝なのかと思っていましたが台本が有ることを知り
書くことは好きだったから、やりたいことをやろうと思ってから数年後
カルチャー教室で見つけた落語の台本教室に通い始めました。
しかし思うように筆が進まない事から台本を書く為には
「しゃべるリズム」を覚えると良いとの講師の勧めで2013年4月~6月の三か月間
記念受験のような気持ちで落語の教室にも通い始めました。
実際、落語をやってみたら難しいけれど、結構楽しくていつの間にかのめり込んでいました。
今ではベテランぞろいの落語サークルやボランティア団体にも所属。
先輩たちに揉まれながら社会人落語家として寄席に出たりボランティアで施設に行ったりしています。
★初めての高座はいつごろでしたか
お客様の前で高座に上がったのは2014年の
暮れでした。
客として何回も足を運び、なじみがある
会場でしたが高座に上がってみると
景色がちがって見えました。
大先輩の方々が高座に上がる前の
初めの方で演じることが出来たので
ものすごく緊張しましたが
楽しいと思う事が出来ました。
★小天さんが書いた台本を演じたことは有りますか?
はい「取り換えっこ」など2作品を数回。師岡町会館でも披露したことが有ります。
初めての作品というのは演じるうえで先例がないですよね。いわゆるお手本がない。
ですから先輩方や仲間たちの意見やアドバイスを受けながら色々やってみる。
お客様の受けは良かったけれど、自分では違うなと思う事も有ります。
同じ台本でも演じる側の年齢や、登場人物の年齢設定をどのくらいにするかで
全く違うものになってきます。
ある程度の年齢にならないとこの登場人物の本質を表現できないというものもあって
とても面白いと思います。
★茶遊亭小天(さゆうていこてん)
という高座名の由来は?
先にも言いましたように4月から6月までの
ワンクールのみのつもりでしたので
あとから高座名を見た時に
落語を習っていた当時の状況が思い出せる
そんな名前にしたいという思いがありました
当時の先生が「三遊亭」御一門の方
だったのですが三遊亭の亭号をそのまま
使うわけにはいかないので「ん」の字を
抜いて字ずらの良い字「茶」を当てました。
「ん」を抜いたのは「ん」が付く名前「ん」で終わる名前は出世するそうなのでへりくだる
そんな気持ちもあっての事です。
「茶遊(さゆう)」は、当時気に入っていた中国茶館の店名でもあります。
「三遊亭」の「三」は(呑む、打つ、買う)の三道楽からきているそうですが「茶」の字は
草かんむりが十が2つとみて二十、その下に八十八、足して108。
煩悩の数をあらわすそうで、へりくだったつもりがトンだ欲まみれの亭号になってしまいました(笑)
「小天」ですが、小さな天道虫(てんとう虫)の略で、てんとう虫はヨーロッパでは幸運の象徴。
てんとう虫が留まった人には良いことが起こるとされています。
ご縁が有って出会った方には良いことが有りますようにというゲン担ぎでもあります。
それなら「天道」もかっこいいかなとも思いましたが、「転倒」にもつながるので「コテンッ!」
くらいが落語の真髄にあってるかなと。
それに出世するといわれてる「ん」で終わってますしね((笑)
★最後に落語の魅力を教えて下さい
忠臣蔵で赤穂浪士にスポットを当てるのが歌舞伎。赤穂藩の残りの5分の4の人たちに
スポットを当てるのが落語だと、ある大物落語家が言っておられました。
落語ってまともにやったらイヤな話が多い。
欲深い高利貸しとか、あんなオヤジがいたらイヤだなとか。
でも、あるあるな出来事だったり嫌な人なりのおもしろさ、滑稽さがある。
落語を聴いて、生きていていいんだ、そのままで良い、こんな自分でもいいんだ
明日も頑張ろうって思ってもらえたら、そんな気持ちでいます。
有難うございました。
私もテレビなどで落語を聴いて面白いと思いますが、登場人物の気持ちになってみたり
これでいいんだ、明日も頑張ろうと思ったことは有りませんでした。
でも、小天さんの落語にはそれがある。それは小天さんの大きな武器になると思います。
これからの小天さんのご活躍を願っています。